2013/12/04

弊社がMemSourceのサービスをサポートする理由

弊社がMemSource のセールス活動に協力している理由は、勿論、便利でいいサービスだからだ。もう1つの理由は、翻訳業界に一石を投じたいから。

それは、翻訳業界で今でも行われている「無料で翻訳者に作業をさせる」慣習を止めたいのである。

品質管理の名の元に翻訳者に翻訳成果物に加え、翻訳メモ、単語リストも無料で提出させられる場合がある。翻訳メモは無料でもしかたないと思うが、単語リストの作成を無料でさせられるのは違和感を感じる。なぜなら単語リスト作成は翻訳作業ではないからだ。

日本翻訳連盟が参考のために掲示している基本契約書のひな型にも翻訳業務の定義(第2条)として「他の言語に変換された後のレイアウト作業等を含まない」とある(繰り返しますがあくまでこれはひな型です)。

http://www.jtf.jp/jp/useful/report_bk/contract.html

言語を他の言語に変換する作業以外は行わないということだ。単語リストを作成するのは翻訳作業ではない、または翻訳作業を越える作業である。

MemSource Editor を使用すれば、翻訳者は、翻訳メモや単語リストをわざわざ作成せずに納品が可能だ。翻訳メモは、各セグメントにコメント欄があるのでそこに記入すればよい。単語リストは空のTBを添付しておいて、そのTBに単語を挿入作業だけ(ctrl+T+Enter)で単語リストが作成できる。その状態でUpload to Serverをクリックすると依頼主へクラウド上での納品される。たったそれだけ。

現在のところ、MemSource を使用しても翻訳メモが別途一覧で作成はされない。弊社からは、MemSource のサポートチームに対して一覧で作成してそのままクライアントへ納品できるような機能を付けてほしいという要望は出している。この機能はそのうち実現されるだろう。

せっかく翻訳祭という業界最大のイベントがあったのだから翻訳者さん側から無料奉仕は反対するのような声が聞こえてもよいのにな、と感じた。「無料奉仕はできません!」と声を上げてもいいのではないか?

翻訳料金の値下げ要求という問題もあるだろうが、無料奉仕問題も同時に解決しなければならない。少しでも負担を翻訳者に負わせたいのは分からないではないがプロフェッショナルに無料奉仕を依頼するなんて失礼な話だ。

もし特定のシステムを導入したら解決できるのであればそうすればいいのではないか、というのが弊社の立場である。

翻訳者に無料で翻訳ソフトが提供することができるという点もMemSourceを気に入っている。

日本の社会は、これまでサービス残業、サービス早出が当たり前と考えられてきた。翻訳者に無料奉仕を要求する組織は恐らくその慣習から抜け出せないかもしれない。

ちなみにボランティアでサポートしているのかと尋ねられるが、ボランティアではない。弊社は普通の民間企業なので無料奉仕はできない。ちゃんとお金をいただいてサポート業務を提供している。翻訳祭でのサポート業務(ブースでの対応、パンフレット翻訳、プレゼンテーションでの通訳等)に対してもうん千ドルお支払いただいた。

こっちもプロですから。

1 件のコメント:

  1. たいへん共感しました。ただ、無料奉仕と感じるかどうかは、レートによるのではないでしょうか。御社の翻訳者募集レートの8円では単語リスト作成はおろか翻訳自体も難しいと感じる者も、15円であれば進んで単語リストすることがあるかと。この話は、レートを加味して進めなければ、プロの翻訳者については成り立たないのではと思います。効率化の話をするなら、翻訳者にとって、高単価会社からの受注や時給換算が大きな要素の一つですので。

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