2012/08/30

6年前のちらし

6年前、僕は独立した。すぐに自分のPCでとりあえず50枚ほどちらしを作った。

特許事務所が集中している地域に訪問営業をかけた。

だけどほとんど門前払いに終わったので、もうやる気もなくして、残った何枚かのちらしをドアをノックせずに郵便受けに入れて逃げるように帰って来た。

ちらしだけ配って即仕事を受注できるほどこの世は甘くない。知名度もないし、コネもないし。この状況では営業は苦戦する。

先日、ある事務所さんに挨拶に伺った。コネがあったので受注は間違いなしの状況だ。

だからかなりリラックスして訪問した。リラックスし過ぎたためからしれないが、事務所を出て地下鉄淀屋橋駅の手前50メートルぐらいで右足の靴の底が剥がれた(営業から帰ってきたら左足の底も剥がれた)。靴の底ってのはそう簡単に剥がれないものだと僕の中で思っていたが、そうではないことが分かった。

その挨拶中、僕が6年前にお配りしたチラシが目の前に出てきた。一緒に入れておいた名刺もちらしにくっついてあった。

6年前、そのときは一生懸命作ったちらしだ。1社でいいから仕事もらえないかと淡い期待を込めて作ったちらしだ。1件だけ返答があったけど、必要ないから次回から持ってこないでくれと電話で言われた。結局1件も反響がなかったちらしだ。こういうちらしは作るなというタブー本でもあれば是非掲載したくなるようなちらしだ。

6年後、この事務所さんからお仕事をいただいた。

6年前なんの反響もなかったが、中には「ああこんな翻訳会社ができたんだ。このちらしファイルにとりあえず保管しておこう」と思った方もいたのだ。

あのちらし今でもどなたかが保管されているかもしれない。

頑張ろう。

2012/08/29

体制

現在、体制を立て直しています。

部署まではいきませんが、チームぐらいを作ろうと思ってます。9月から弊社新年度に合わせて。

2012/08/27

DMの送り主が変わってきた

以前は、中国やアジアの翻訳会社からのDMが多かった。今はイギリスとかの先進国からのDMが増えている。ずばり機械翻訳(MT)の営業メールである。

以前は、物価や人件費が安いアジアで翻訳すると料金が下がりますよというのがアジアの翻訳会社さんの売り文句だった。今は頭脳の粋を結集して作りだしたMTを導入してコストを下げましょうというのが先進国の翻訳会社さんの売り文句だ。

ただし今のところMTにしたところでそれほど料金的にお得感を感じない・・・。得だと感じるのはスピードだろうか。確かに早い。

MTはどのように進化するだろうか。非常に興味がある。

9月には東京で「特許文書の機械翻訳結果評価方法検討会」というものすごく難しそうな検討会がある。多分理解できるのは半分以下だろうが、参加してみようと思う。参加費無料だし・・・。

2012/08/24

フリーランサー時代に学ばなかったこと

僕は、フリーランサーだった頃、翻訳に関してたくさんのことを学んだ。

だが学ばなかったことが1つだけある。

それは、仕事を断ることだ。

仕事はほぼすべて受けた。

だから毎日毎日仕事だらけだった。

処理できない量の仕事が常に机の上を占拠していた(そのときの机は妻が独立祝いに近くの日曜大工の店で買ってきてくれた長い板だった。板の両端を部屋の両端に置いた2つの本棚に架設して机として使った)。

もう腕がちぎれるんちゃうかと思うぐらいの仕事量だった。でも腕がちぎれることはなかった。まぁ翻訳やってて腕がちぎれた人はいないと思う。

でもこうすることによって色々と工夫するようになった。

このとき学んだ(学ばなかった)ことは今でも役に立っている。

だから仕事なんて断らなくていいと思う。

絶対無理そうで受けられない仕事でもどうやれば受けることができるかを考えるようになったし。

2012/08/21

絶対的な翻訳方法

翻訳には絶対的な基本というものがあると思う。クライアントの指示通りに翻訳するとか、原文に忠実にとか、出願ルートに合わせるとかである。

では、絶対的な翻訳方法はあるかというとないと思う。

野球で例えると、王、張本、イチロー、落合みんな打ち方が違う。同じなのは、ボールをとらえる瞬間のフォームだけだ。

翻訳においては、翻訳ソフト(翻訳メモリ)、テキストエディター、ワードマクロ、音声入力ソフトを使った様々な方法がある。およびこれらを組み合わせることも可能だ(全てを組み合わせる人はいないと思うけど)。方法は異なるだろうが、プロが翻訳すると、いかにもプロが翻訳したなという成果物が出来上がる。

プロの翻訳者は自分に合った方法を選ぶ。ある翻訳者が選んだ方法が他の翻訳者にとってベストな方法かどうかは分からない。絶対的な翻訳方法はない、と思う。

2012/08/20

クラウドは危険か?

この話題以前も書いたかな・・・。

クラウドは賛成派と反対派に分かれる。

賛成派は、いつでもデータが取り出せる利便性を挙げる。特に、災害が発生して事業所が物理的に壊滅した場合、データがクラウドに保管されていると、仮の事業所でも即業務を再開できる。日本は自然災害も多いので、クラウドの利点はこれだろう。

反対派はデータの漏洩の可能性を指摘する。クラウドサービスを提供しているプロバイダーが消滅してしまうと、データを取りだすことができなくなる。

データ漏洩の危険性に関して、クラウドを提供しているサービスプロバイダーは漏洩の危険性は承知している。だからデータが漏洩しないように特許事務所や企業の事業所や支店や営業所単体では到底考えられない巨額を投資してデータ漏洩を防いでいる。危険性だけで言うと特許事務所や企業の1事業所の所(社)内ネットワークの方が漏洩の危険性は高い。

クラウドはデータ漏洩の危険性があるので使用しないという特許事務所内には携帯電話が自由に持ち込める。持ち物検査もしないので、メモリースティックをスーツのポケットに忍び込ませて、データを持ち帰っても発覚しない。ファイルキャビネットは所内のスタッフなら誰でもアクセスできる。誰にも気づかれずに2~3冊持って帰ることも可能だろう。それでも自所はクラウドを使っていないので安全だと主張する・・・。

在宅で作業されている方もクラウドは危険だと主張する方もいるが、一日中、SNSに接続しっぱなし。それって・・・。

弊社としてはなにもかもクラウド化させる予定はいまのところない。できるところとできないところがあると思う。

クラウドサービスを提供しているプロバイダーも選別した。トランスレーション・メモリのプロバイダーには、NDAを結ばせた(弊社のTMは一般には公開されていない。弊社限定のクラウドスペースに保管されている)。TMはアドミニストレータ・アカウントを有する者しかを書き換えることができない。データストレージは数社を使っている。1社のみ使うと全てのデータが漏洩してしまう(しないと思っている)可能性があるので、分散させた。

クラウドで困ることは、サーバーダウンか・・・。メンテナンスがあるので必ずダウンタイムが生じる。

私は全面的クラウド賛成派ではない。ただクラウド便利派だと思う・・・。

2012/08/19

GTD~MKTFウェイ

弊社のGTD(Get Thing Done)について書きます。と言ってもスケジュール管理について。基本的に、納期管理はPC上で行っている。当たり前だと思う。ただし停電もあるだろうし、サーバーダウンもあるだろうから、手書きのスケジュール帳というか紙にも書き出している。まぁ弊社なりのGTDというか、初歩的なプロジェクト・マネージメントと言えると思う(言えないかもしれない)。

私は縦割りの、以下のようなデザインのものでGTD管理している。

done 案件名 1月1日 1月2日 1月3日・・・1月31日 備考
 □   201201         ○
 □   201202  ×           ○
 □   201203         ×            ○
 □   201204         ×            ○
 □        ・
 □        ・
 □        ・

縦軸は、案件名(A4サイズだと20件ぐらいしかを記入できません)、横軸は日を表す。

*○が納品日を示す。
*×が翻訳者が納品してくる日を示す。
*□のチェックボックスには、納品完了後チェックを入れます。
*実際には、全体的に罫線が入っています。
*本来、クライアント名等も記入すべきだが、それらはPCに入力している。上のスケジュールボードには最低限の情報のみを記入している。第一、案件番号からクライアント名は想像できるので。

上のようなデザインで管理するのが私にとってはベストだ!特定日の納品数が一目瞭然であるのが助かる。また本日から納品日までの残り日数も分かりやすい。さらに検品にさける日数も分かりやすい。

このようなデザインのスケジュール帳って売ってない・・・。僕は文房具が好きなのでよく文房具コーナーをのぞくのだが、見つけられない。

昔はA3のノートを買ってきてオフィスマネージャーが手書きで上のデザインを書いていた。でも面倒くさいみたいで評判がすこぶる悪かった。だから1年ほどで止めてしまった・・・。

エクセルで作成してプリントアウトします。文房具屋で買ってきたA4のボードにクリップします。

どちらにしても上のデザインが一番スケジュールを管理し易い。

2012/08/16

一日の平均稼働時間12~14時間

弊社で翻訳をしてもらっている翻訳者さんは、一日平均、12~14時間翻訳をしてるらしい。それでも足りない!と言っている。

仕事の効率を上げれば時間数は減るだろうが、どうでもいいみたい。

僕もフリーランサーやってたとき、これぐらい仕事をしてた。土日も、GWも、正月も。その時に培ったもの(体力とか精神力とか)が今になって活きてるような気がする。

自宅の近くにビジネスホテルがあるけど、そこに甲子園に出場する高校野球時が宿泊している。20時頃そのビジネスホテルの近くを自転車で通るとバッターは素振りをしてる。ピッチャーはシャドーピッチングをしてる。レギュラー選手はみんなこんな感じだと思う。

練習や試合が終わって宿舎に戻れば遊んでいるわけではない。昔から「家に帰ってからが勝負だ」と言う。

練習が夜の9時に終わるから親に迎えに来てもらっているようではレギュラーにはなれない。レギュラー選手は夜9時から家までランニングして帰る。人と同じことをしてないからレギュラーになれる。

2012/08/12

番外編 - ロンドンオリンピック

ブログのページビューを増やす簡単な方法について書きます。

それは、その季節に合った書き込みをすること。翻訳に関して書くにしてもなんとか「オリンピック」というキーワードを混ぜないといけない。「高校野球」というキーワードでもいいだろう。「ロンドン」でもいいかもしれない。「節電」もいいかも?

翻訳会社のブログでもオリンピックといくキーワードが盛り込まれているのはそのためである(ブログを書いた方も感性かもしれないけど)。

そういう感性があればいいな・・・。

今回のブログのテーマが無理やり「ロンドンオリンピック」。本日の書き込みと全く関係ありません。

翻訳者さんの専門分野-003

では、専門分野を持った方がいいのか、専門分野を持たず広い分野を翻訳すればよいのかちょっと書いてます。

専門分野を持つ利点というのは、1つの技術分野に特化して翻訳するので翻訳する内容がいつも同じになる。従って、翻訳スピードが速くなる。たとえ単価が安くても量をこなせる。これが利点である。5000ワード/日(日英の場合)という翻訳者さんも珍しくない。

専門分野を持たず広く翻訳する利点は、仕事が途切れない可能性が高いということである。分野別の単価を設定できるかもしれない。

2012/08/11

翻訳者さんの専門分野-002

翻訳会社側に立って書きます。

翻訳者さんに専門分野を持っていただきたいのには理由があります。それは品質向上です。

クライアントさんに対して、専門分野の翻訳者が翻訳します、と言いたいわけです。特許翻訳者が翻訳しますよりも、電気・電子分野の専門の翻訳者が翻訳しますと言った方が説得力があります。それに翻訳会社としても、翻訳者さんが全分野翻訳できますと言ったとしても疑ってしまいます。

翻訳会社には翻訳者さんのデータベースがあります。そこには専門分野という欄があります。電気・電子でもデジタルカメラとか、画像形成装置とかが記入されています。新規案件がデジタルカメラに関するものであればその専門の翻訳者さんをアサインするのは当然だと思いますし、翻訳会社にとれば保険みたいな感じがするかもしれません。

私の感想ですが、専門分野をかなり詳細に細分化しているのは、海外の翻訳会社よりも日本の翻訳会社の方です。上に書いたように、大項目として、「電気・電子」、小項目として「デジタルカメラ」というような細分化はあまり海外の翻訳会社は行ってないのかもしれません(行っているかもしれませんが)。

なぜ日本の翻訳会社の方が細分化が進んでいるかというと、「日英特許翻訳」という市場が日本国内に確立しているからだと思います。「独日特許翻訳」や「仏日特許翻訳」という市場も日本にあるのはあるでしょうが、「日英特許翻訳と」いう市場にはかないません。市場が大きいのですからクライアントにベストなサービスを提供するため当然細分化が進むわけです。

2012/08/06

翻訳者さんの専門分野-001

特許翻訳の場合、どうしても専門分野というものがある。大きく分けて、電気(電子)、化学(有機、無機)、バイオ、医薬などがある。

翻訳者さんはご応募されるときに、自分の専門を明記の上、履歴書等を送ってこられる。その際、文系出身の翻訳者さんが専門分野を記載していることにちょっと違和感を覚える。つまり文系出身の翻訳者さんには本来専門分野はないはずである。専門分野だといっているのは過去の翻訳技術分野の頻度に過ぎないはずだ。文系出身の翻訳者が「私は過去5年間、半導体に関する明細書の翻訳を50件行いました」というのは、我々プロの間では、「専門分野」ではない。それは「頻度」だ。

理系出身の翻訳者さんは専門があって当然である。その分野に関する論文の1本や2本を執筆したこともあるだろう。その分野の製品を開発したこともあるだろう。だからこその専門分野だ。専門分野以外の翻訳ができないというのもうなずける。当然だ。白か黒かだ。デジタル思考とも言う。

文系出身の翻訳者さんは、逆に、自分の専門分野がなければすべての分野の翻訳をすればいいのではないか。理系の翻訳者が専門分野以外の翻訳ができないのなら、文系翻訳者は全分野翻訳すればよい。そこが文系翻訳者の「売り」のはずだ。白も黒もだ。アナログ思考とも言う。

理系出身の特許翻訳者さんは、ご自身の専門分野で勝負すればよい(絶対に文系翻訳者は太刀打ちできない)。文系出身の特許翻訳者さんは、広く浅く全分野の翻訳をすればよい(理系翻訳者さんにはこれだけ広い分野の翻訳はできない)。

*文系出身の翻訳者さんの中にもご自身で勉強をされて専門分野を確立されている方もいらっしゃいます。
*文系や理系のような区別はナンセンスだという主張もあります。