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2016/03/05

いい翻訳とそうでない翻訳の特徴とは?

いい翻訳とそうでない翻訳の特徴について結論から書きます。

(1)短い語(単語)を正しく訳せている。
(2)長い語(センテンス)を「修飾語と非修飾語との関係が正しく理解しながら」を正しく訳せる。

以上です。非常に単純だと思います。

ですので、チェックを開始して、かなり最初の方(1ページ目とか)で単語レベルで誤っていたり、関係代名詞や複文を修飾語と非修飾語との関係を破綻させたまま訳していると、あ~この翻訳駄目だと感じます。

確かに単語の訳が適訳でないと該当分野には詳しくないと想像できますし、一見複雑なセンテンスでも内容が分かっているとたとえちょっとぐらい文法が破綻していても訳せるはずですしね。

翻訳をチェックする立場のスタッフからのいい翻訳の具体例も挙げます。

スタッフA
・用語の誤訳がない
・化合物名に誤りがない
・at least one ofを適宜訳し分けることができる(1つのor1種の)
・重量%の分母が分かっている
・at least, at mostを適宜、「以上」「以下」と訳せる
・当該技術分野の用語を使用している
・関係代名詞等の掛かり方に誤りがない

スタッフB

・話の流れに整合性がある
・文脈によって選択すべき訳語が異なる場合(例えば、reduce(還元、減少)やgroup(基、群))に、正しい訳語を選択している
・訳語の統一度が高い
・長い文章でも係り受けに間違いがない
・文意が理解できていると、文法的にも間違いが少ないと思います。
・逆に技術内容又は原文が理解できていない場合、訳文を読んでも文意がわからないことが多いです。

とにかくいい翻訳は、チェックが楽です(笑)。

2015/01/23

知財以外の翻訳はしてません

せっかくお問い合わせいただいて申し訳ないのですが、知財以外の翻訳はお引き受けしておりません。

具体的には、特許明細書、中間処理書類、先行技術文献、裁判資料、ライセンス契約書、知財に関するプレゼンテーション資料等しかお引き受けしておりません。

一般的なビジネス翻訳は翻訳者自体がおりません。お問い合わせいただいた場合、翻訳者をなんとか探しだすことは可能ですが、かなりお高くなります。翻訳者に支払う料金に我々の利益を上乗せするからです。

以前は知財以外の文書の翻訳もお引き受けしていたのですが、頻繁に発生しない翻訳のために翻訳者を確保することは経費だけがかかってしまって、商売として成り立ちませんでした。従って、現在、翻訳者は知財関係の翻訳者ばかりです。我々は知財翻訳会社です。




せっかくお問い合わせいただいたお客様には大変申し訳ないと思います。


HP: http://www.mkhonyaku.com
twitter: @MKhonyaku

2014/01/19

次の単語を訳しなさい。「To」

こんにちは。株式会社MK翻訳事務所の代表(Chief Project Manager (CPM))のマサです。

本日はみなさんにクイズから入ります。次の単語を訳して下さい。

問1) To

さあどうでしょうか?

答えは、「終了」です。

はぁ~とお思いになるかもしれませんが、ある特定の場合、「終了」です。では、どんな場合でしょうか。以下をご覧下さい。


上のようなユーザーインターフェース(UI)があったとします。日本語では、


となりますよね?

実は、翻訳者さんは「宛先」と訳してきたのです!答えが分かってしまってからでは「宛先」はないだろと言いたくなりますが、UIを目で確認できない場合、このような誤訳が発生してしまいます。

つまり「To」だけを訳せと言われても実物を確認しないと訳語を決定することができないのです。ですので、誤訳は誤訳なのですが、これを誤訳を断言するのは揚げ足取りでしかありません。

ちなみに「New Work」は「新規案件」ですが、最後の「Work」を「York」と勘違いして「ニューヨーク」と翻訳してくる人もいます・・・。いきなり「ニューヨーク」はおかしいだろそれ。

このような誤訳はソフトウエア開発とマニュアル制作を同時に行なった場合発生してしまいます。開発側は一生懸命納期に間に合うように開発するのですが、どうしても予定通りには開発できそうにない。翻訳側はソフトのUIを実際に見ながら翻訳をしたいがソフトが間に合わない。こういうケースは頻繁に起こります(こういった場合、とばっちりを受けるのがプロジェクトマネージャーです。両方から文句を言われるからです)。

では、このような誤訳が発生した場合、実際にはどのように処理をするのかと言うと、普通、次のバージョンアップのときにこそっと修正します・・・。本当にこそっと・・・。

でも最近は、クラウド上のソフトのマニュアル翻訳では、誤訳が発覚するごとに修正している場合もあるみたいですね。堂々と。

ではまた!

HP (JP): http://www.mktranslationfirm.com/
HP (EN): http://mktrans.jimdo.com/
Cloud Translation Technologies: http://cloudtranslationtechnology.wordpress.com/
twitter: @mktrans_news

2013/12/04

弊社がMemSourceのサービスをサポートする理由

弊社がMemSource のセールス活動に協力している理由は、勿論、便利でいいサービスだからだ。もう1つの理由は、翻訳業界に一石を投じたいから。

それは、翻訳業界で今でも行われている「無料で翻訳者に作業をさせる」慣習を止めたいのである。

品質管理の名の元に翻訳者に翻訳成果物に加え、翻訳メモ、単語リストも無料で提出させられる場合がある。翻訳メモは無料でもしかたないと思うが、単語リストの作成を無料でさせられるのは違和感を感じる。なぜなら単語リスト作成は翻訳作業ではないからだ。

日本翻訳連盟が参考のために掲示している基本契約書のひな型にも翻訳業務の定義(第2条)として「他の言語に変換された後のレイアウト作業等を含まない」とある(繰り返しますがあくまでこれはひな型です)。

http://www.jtf.jp/jp/useful/report_bk/contract.html

言語を他の言語に変換する作業以外は行わないということだ。単語リストを作成するのは翻訳作業ではない、または翻訳作業を越える作業である。

MemSource Editor を使用すれば、翻訳者は、翻訳メモや単語リストをわざわざ作成せずに納品が可能だ。翻訳メモは、各セグメントにコメント欄があるのでそこに記入すればよい。単語リストは空のTBを添付しておいて、そのTBに単語を挿入作業だけ(ctrl+T+Enter)で単語リストが作成できる。その状態でUpload to Serverをクリックすると依頼主へクラウド上での納品される。たったそれだけ。

現在のところ、MemSource を使用しても翻訳メモが別途一覧で作成はされない。弊社からは、MemSource のサポートチームに対して一覧で作成してそのままクライアントへ納品できるような機能を付けてほしいという要望は出している。この機能はそのうち実現されるだろう。

せっかく翻訳祭という業界最大のイベントがあったのだから翻訳者さん側から無料奉仕は反対するのような声が聞こえてもよいのにな、と感じた。「無料奉仕はできません!」と声を上げてもいいのではないか?

翻訳料金の値下げ要求という問題もあるだろうが、無料奉仕問題も同時に解決しなければならない。少しでも負担を翻訳者に負わせたいのは分からないではないがプロフェッショナルに無料奉仕を依頼するなんて失礼な話だ。

もし特定のシステムを導入したら解決できるのであればそうすればいいのではないか、というのが弊社の立場である。

翻訳者に無料で翻訳ソフトが提供することができるという点もMemSourceを気に入っている。

日本の社会は、これまでサービス残業、サービス早出が当たり前と考えられてきた。翻訳者に無料奉仕を要求する組織は恐らくその慣習から抜け出せないかもしれない。

ちなみにボランティアでサポートしているのかと尋ねられるが、ボランティアではない。弊社は普通の民間企業なので無料奉仕はできない。ちゃんとお金をいただいてサポート業務を提供している。翻訳祭でのサポート業務(ブースでの対応、パンフレット翻訳、プレゼンテーションでの通訳等)に対してもうん千ドルお支払いただいた。

こっちもプロですから。

2013/09/01

翻訳者さんの提出遅延はなぜ起こる?

今回は、翻訳の遅延について書いてみたい。

年間、ほんの数件(ゼロに近い)だが翻訳者さんからの翻訳が約束した納品時間およびその日を過ぎても弊社に納品されないことがある。

翻訳会社からすれば、きっとご家族になにか不幸でも起こったのか?通信エラー化?ひょっとして迷惑メールボックスに入っているのでは?と色々考える。

そんなときは現状報告のメールを下さいとお願いするのだが、こんな答えが返ってくる。

「チェックに後数時間必要です。」
「納品日を間違っていました。」
「納品用のファイル形式にエクスポートする方法がわからなくて困っています。」

などである。

どういう理由にせよ、事前に遅れる旨の連絡を入れないことが問題である。

弊社の場合は、クライアントに納品する48時間前には最低でも納品していただいているので、ちょっとぐらい遅れても普通は問題ない(ないとは言い切れないが)。

事前にご連絡さえいただければ新たに納品時間を設定することもできるし、とりあえず完成しているところまでを送るように指示することもできる。

もし1分たりとも納品に遅れては困る場合、POに「納品日:xx月xx日、12:00厳守」のように絶対に送れないで下さいというメッセージを入れる。入ってないということは少々遅れても問題ないはずである。これは弊社だけではなく他社さんも同じことが言えると思う。

では、遅延が起こった場合はどうするかというと待つしかないわけであるので納品されるまで待ちます。

そして検品をするわけだが、遅延はしたが翻訳の内容に問題がなければ、「今後、送れそうな場合は、必ず事前にご連絡いただきますようお願い申し上げます。」のようなメールをもうちょっとねちねち感を出して翻訳者さんに送る。

しかし遅延はするわ内容もだめな場合は、「合理的に判断して次回からはお願いしないことになりました。本日をもってxx様との契約を解除いたします」のようなストレートな契約解除メールを送ることになる。

遅れそうな場合は事前にその旨を伝える、たったこれだけのことなのに・・・。

2013/08/01

最近の低価格翻訳について思うこと

以前、高額翻訳と低価格翻訳との差が広がりつつあるという記事を書きました。その続編です。

なぜこれほどまでに差が広がったのかを自分なりに考えてみました。

それは、その仕事をお引き受けになる翻訳者さんがいらっしゃるからです<=当たり前のことですが。

もう少し詳しくお書きします。

今、3つのグループがあります。


  1. 翻訳会社等で働いている人達(経営者、サラリーマン等)
  2. 翻訳だけで食べているフリーランス翻訳者さん
  3. 翻訳もするフリーランサーさん


2と3の違いを説明します。

2は、翻訳を専門にしているフリーランサーさんです。翻訳以外はされません。基本ご自宅で作業をされます。

3は、翻訳もされます。それ以外にアプリ開発やイラストレーションやウエブ作成等、様々なお仕事を限定することなく(フリーに)、お仕事をされる方々です。作業は、自宅に限らずノマド的に仕事をすることも可能です。

低価格翻訳は2のグループに属している方はお引き受けにならないだろう。自分が設定している料金より安いので。

低価格翻訳は、3のグループに属する方々によって提供されているのではないだろうか、というのが私の見方です。特に翻訳に特化しているわけではないので、とにかく仕事が見つかれば引き受けるようなイメージです。

3つめに属しているフリーランサーさんは、インターネット上のマッチングサイトの到来によりお仕事を得るチャンスが以前より増したようです。

翻訳のお仕事の中には、翻訳者さんよりもアプリ開発者さんにお願いしたいとか、専任の翻訳者さんでなくてもお願いできる場合もあるので、依頼する側もニーズに合わせて依頼先を選択できているのではないだろうか。


2013/07/22

高額翻訳と低額翻訳の差が増々広がる

高額翻訳と低額翻訳の差が増々広がっている。

日英翻訳で、1文字当たり1円~15円の範囲もあり得る。無論、分野によっては、元々差が大きかったのも事実である。

低額翻訳の発生原因としては、インターネットを介してエンドユーザーさんが翻訳者さんに直接依頼できることが要因ではないかと思う。それらの案件の依頼主さんは適正翻訳料金をご存じないので、超低価格翻訳の依頼が発生しているのではないか。10000文字の日英翻訳を1文字1円で依頼という掲載も見たことがある。

翻訳者さん側から言えば、隙間時間を利用して臨時のおこずかいを得ることを目的としている場合もある。だから低価格翻訳を受注してはいけないわけではない。

ユーザーさん側から言えば、1文字15円支払ってでも正確な翻訳が必要となる裁判資料の翻訳という場合もあれば、ちょっとビジネスレターの翻訳が必要になったけど自分は翻訳している時間がないのでどなたかに翻訳してほしい、予算は~円です、という場合もあるだろう。

どんな市場も2極化するというのがマーケティング理論なので当然の結果と言えばそれまでかもしれない。

ホテルだって超高級ホテルもあれば、B&Bもある。

どちらを選ぶかはユーザー様のご自由だし。

2012/10/14

1週間徹夜で仕上げても

「1週間徹夜で仕上げた苦労は感謝できる。ただし出来が悪いのでやり直してください」と言われることがある。

*ちなみに本日の書き込みが下書きを含めて100通目でした。

2012/09/11

エンドユーザーさんの景気と翻訳料金

現在、日本の家電メーカーさんは経営に苦労されているようだ。

当然、そういったメーカーさんが出願人となる外国出願用の翻訳では、単価が下がる。

先日、営業に行った特許事務所の所長さんは、「うちは家電のクライアントいませんので、料金は提案の料金通りで結構です」みたいな話しをされた。

翻訳単価を確保したければ家電以外の外国出願を扱っている事務所へ行け、となる(逆に、家電がメインクライアントである事務所へは行くな、になるか?)。

ただしこれは単案件での話し。

月間10件(または年間数百件)の翻訳依頼するから出願人は家電以外だけど値引きして、みたいな話しは無論ある。

2012/08/24

フリーランサー時代に学ばなかったこと

僕は、フリーランサーだった頃、翻訳に関してたくさんのことを学んだ。

だが学ばなかったことが1つだけある。

それは、仕事を断ることだ。

仕事はほぼすべて受けた。

だから毎日毎日仕事だらけだった。

処理できない量の仕事が常に机の上を占拠していた(そのときの机は妻が独立祝いに近くの日曜大工の店で買ってきてくれた長い板だった。板の両端を部屋の両端に置いた2つの本棚に架設して机として使った)。

もう腕がちぎれるんちゃうかと思うぐらいの仕事量だった。でも腕がちぎれることはなかった。まぁ翻訳やってて腕がちぎれた人はいないと思う。

でもこうすることによって色々と工夫するようになった。

このとき学んだ(学ばなかった)ことは今でも役に立っている。

だから仕事なんて断らなくていいと思う。

絶対無理そうで受けられない仕事でもどうやれば受けることができるかを考えるようになったし。

2012/08/21

絶対的な翻訳方法

翻訳には絶対的な基本というものがあると思う。クライアントの指示通りに翻訳するとか、原文に忠実にとか、出願ルートに合わせるとかである。

では、絶対的な翻訳方法はあるかというとないと思う。

野球で例えると、王、張本、イチロー、落合みんな打ち方が違う。同じなのは、ボールをとらえる瞬間のフォームだけだ。

翻訳においては、翻訳ソフト(翻訳メモリ)、テキストエディター、ワードマクロ、音声入力ソフトを使った様々な方法がある。およびこれらを組み合わせることも可能だ(全てを組み合わせる人はいないと思うけど)。方法は異なるだろうが、プロが翻訳すると、いかにもプロが翻訳したなという成果物が出来上がる。

プロの翻訳者は自分に合った方法を選ぶ。ある翻訳者が選んだ方法が他の翻訳者にとってベストな方法かどうかは分からない。絶対的な翻訳方法はない、と思う。

2012/08/16

一日の平均稼働時間12~14時間

弊社で翻訳をしてもらっている翻訳者さんは、一日平均、12~14時間翻訳をしてるらしい。それでも足りない!と言っている。

仕事の効率を上げれば時間数は減るだろうが、どうでもいいみたい。

僕もフリーランサーやってたとき、これぐらい仕事をしてた。土日も、GWも、正月も。その時に培ったもの(体力とか精神力とか)が今になって活きてるような気がする。

自宅の近くにビジネスホテルがあるけど、そこに甲子園に出場する高校野球時が宿泊している。20時頃そのビジネスホテルの近くを自転車で通るとバッターは素振りをしてる。ピッチャーはシャドーピッチングをしてる。レギュラー選手はみんなこんな感じだと思う。

練習や試合が終わって宿舎に戻れば遊んでいるわけではない。昔から「家に帰ってからが勝負だ」と言う。

練習が夜の9時に終わるから親に迎えに来てもらっているようではレギュラーにはなれない。レギュラー選手は夜9時から家までランニングして帰る。人と同じことをしてないからレギュラーになれる。

2012/08/12

翻訳者さんの専門分野-003

では、専門分野を持った方がいいのか、専門分野を持たず広い分野を翻訳すればよいのかちょっと書いてます。

専門分野を持つ利点というのは、1つの技術分野に特化して翻訳するので翻訳する内容がいつも同じになる。従って、翻訳スピードが速くなる。たとえ単価が安くても量をこなせる。これが利点である。5000ワード/日(日英の場合)という翻訳者さんも珍しくない。

専門分野を持たず広く翻訳する利点は、仕事が途切れない可能性が高いということである。分野別の単価を設定できるかもしれない。

2012/08/11

翻訳者さんの専門分野-002

翻訳会社側に立って書きます。

翻訳者さんに専門分野を持っていただきたいのには理由があります。それは品質向上です。

クライアントさんに対して、専門分野の翻訳者が翻訳します、と言いたいわけです。特許翻訳者が翻訳しますよりも、電気・電子分野の専門の翻訳者が翻訳しますと言った方が説得力があります。それに翻訳会社としても、翻訳者さんが全分野翻訳できますと言ったとしても疑ってしまいます。

翻訳会社には翻訳者さんのデータベースがあります。そこには専門分野という欄があります。電気・電子でもデジタルカメラとか、画像形成装置とかが記入されています。新規案件がデジタルカメラに関するものであればその専門の翻訳者さんをアサインするのは当然だと思いますし、翻訳会社にとれば保険みたいな感じがするかもしれません。

私の感想ですが、専門分野をかなり詳細に細分化しているのは、海外の翻訳会社よりも日本の翻訳会社の方です。上に書いたように、大項目として、「電気・電子」、小項目として「デジタルカメラ」というような細分化はあまり海外の翻訳会社は行ってないのかもしれません(行っているかもしれませんが)。

なぜ日本の翻訳会社の方が細分化が進んでいるかというと、「日英特許翻訳」という市場が日本国内に確立しているからだと思います。「独日特許翻訳」や「仏日特許翻訳」という市場も日本にあるのはあるでしょうが、「日英特許翻訳と」いう市場にはかないません。市場が大きいのですからクライアントにベストなサービスを提供するため当然細分化が進むわけです。

2012/08/06

翻訳者さんの専門分野-001

特許翻訳の場合、どうしても専門分野というものがある。大きく分けて、電気(電子)、化学(有機、無機)、バイオ、医薬などがある。

翻訳者さんはご応募されるときに、自分の専門を明記の上、履歴書等を送ってこられる。その際、文系出身の翻訳者さんが専門分野を記載していることにちょっと違和感を覚える。つまり文系出身の翻訳者さんには本来専門分野はないはずである。専門分野だといっているのは過去の翻訳技術分野の頻度に過ぎないはずだ。文系出身の翻訳者が「私は過去5年間、半導体に関する明細書の翻訳を50件行いました」というのは、我々プロの間では、「専門分野」ではない。それは「頻度」だ。

理系出身の翻訳者さんは専門があって当然である。その分野に関する論文の1本や2本を執筆したこともあるだろう。その分野の製品を開発したこともあるだろう。だからこその専門分野だ。専門分野以外の翻訳ができないというのもうなずける。当然だ。白か黒かだ。デジタル思考とも言う。

文系出身の翻訳者さんは、逆に、自分の専門分野がなければすべての分野の翻訳をすればいいのではないか。理系の翻訳者が専門分野以外の翻訳ができないのなら、文系翻訳者は全分野翻訳すればよい。そこが文系翻訳者の「売り」のはずだ。白も黒もだ。アナログ思考とも言う。

理系出身の特許翻訳者さんは、ご自身の専門分野で勝負すればよい(絶対に文系翻訳者は太刀打ちできない)。文系出身の特許翻訳者さんは、広く浅く全分野の翻訳をすればよい(理系翻訳者さんにはこれだけ広い分野の翻訳はできない)。

*文系出身の翻訳者さんの中にもご自身で勉強をされて専門分野を確立されている方もいらっしゃいます。
*文系や理系のような区別はナンセンスだという主張もあります。

2012/05/07

食べていける翻訳者(会社)とそうでない翻訳者(会社)

GWも終わりました。現実世界に戻りましょう。

翻訳は上手なだけではだめです、というお話をします。

私が存じ上げているバイリンガル翻訳者さんは大変翻訳がお上手です。しかしフリーランス翻訳者だけでは生計が成り立たないので会社員と兼業をされています。

私は独立当初、フリーランス翻訳者でしたが、当時は、翻訳は下手でした。その当時、私は翻訳に向いてないのかもしれないと悩んでいました。ただ、翻訳を好きだという気持ちだけで自分を奮いたたせていた記憶があります。

そんな私ですが、幸運なことに、独立後1年目からフリーランス翻訳者としての収入だけで生計を立てることができました。独立する前はアルバイトとの掛け持ちが必要だと覚悟をしていました。元ホテルマンですので、どこかのホテルでバイトを探すつもりでした。多分フリーランス翻訳者としての収入 だけでは生計が立たないだろうから副収入が必要だと想像していました。

理由は分かりませんが、当時、私を使ってくれた翻訳会社がありました。このクライアントは、私が会社員をしているときから仕事を頂いていました。会社員を辞職し、専業翻訳者になったらアルバイトを探す暇なんてないぐらい仕事を頂きました。ただし、毎回、ボロクソ言われました。フィードバックというかクレームだらけでした。これだけ文句があるなら他の翻訳者に依頼すればいいのに、なぜ私に依頼するのか全く理解できませんでした。でも仕事は途切れることなく舞い込んできました。

1年目、この翻訳会社さんからの仕事だけで年間400万円ぐらいになっていたと思います。このクライアントがなければ年商200万円程度ですから、やはり副業がないと食べていけなかったと思います。2年目は多分700万円ぐらいの仕事を頂いたと思います。この翻訳会社さんからの仕事は断りませんでした。とにかく全て受けました。翻訳料金も安いし、使い勝手が良いいと思われたのかもしれません。

翻訳者(会社)は翻訳が上手なだけでは独立できません。翻訳は大変お上手だが独立できない翻訳者が大勢います。逆に、下手でも仕事さえあると独立が可能です。

私の場合、「翻訳がうまくなった、みんなに認められたから独立した」というより、「翻訳は下手だし、誰からも認められなかったけど、使ってくれるクライアントがあるから独立できた」でした。

翻訳会社としても全く同じことが言えます。仕事がないとやっていけないのです・・・。

2012/05/02

お客様のニーズ

我々はどなたにご飯を食べせていただいているのか。それはお客様からご飯を食べせていただいているのだ。今回はそんなことを書いてみたい。お客様から想定外のご指示をいただいたとき、翻訳者によっては、瞬間的に拒絶反応を示す場合がある。そんな時、下のようなたとえ話をして翻訳者に説明する。

元ホテルマンである私はケーキ屋さんやレストランを評価するとき、パティシエやシェフが化粧をしているかしてないかを見てその店を評価する。化粧は食材に匂いを付けるので味が変わる。化粧が食材に降りかかったら不衛生なので、ホテルのキッチンでは化粧は厳禁である(ファンデーションは絶対にダメ!)。同じ理由から香水もだめである。一流のシティーホテルのキッチン内での食材の管理はそれぐらい厳しい。ケーキ屋さんのアルバイトのパティシィエは化粧している。ひどいところではマニキュアまでしている!

僕はそういうところをねちねち見てその店を評価する。でも普通のお客様はそんなところを評価しない。ではどこを評価する?評価するのはおいしさである。その店の雰囲気かもしれない。お客様は化粧をしているかどうかなんて興味はない。

翻訳も同じことが言える。特許翻訳でいえば構成要素等の主要名詞の用語統一はもちろん重要である。ただし、大量の翻訳を必要とされ、また、管理の効率を重視するお客様は、少々英語として完成度が損なわれるかもしれないが、細部にわたる用語統一を重視される場合がある。そのようなお客様は細部にわたる用語統一がされていない訳文に対して低い評価をするかもしれない。しかし、用語統一を重視すれば、少々違和感のある部分も発生せざるを得ない(そのような場合、弊社はコメントを添付して代替案をご提案しています)。お客様の立場に立ってお客様のニーズに可能な限りお応えした上で、プロとしての我々の意見をご提案するのが我々の務めだと考えている。

村上春樹先生の翻訳を批判するお客様である読者が大勢いる。字幕翻訳の戸田奈津子先生の字幕にケチを付ける方々が大勢いる。「あの場面であの訳はないだろう」と言う。

お金を払うのはお客様。我々はお客様に食べせていただいているということを肝に命じ、自己満足的な訳文に終始することなく、お客様のニーズに対応した訳文をお届けし、さらなるご提案を行っていくことがお客様と我々のwin-winの関係を継続させる鍵だと考える。

2012/04/30

私が翻訳学校のカリキュラム編成担当だったら

仮の話しです。私が翻訳学校のカリキュラム編成担当だったらの仮の話しです。どんな講義をするかという話です。

なぜこういうことを思いついたかというと、GWでちょっと暇だからでしょう。GWは事務所の回りの企業さんが一斉に休まれるので静かで仕事がはかどります。そうなるとちょいちょいブログでも書いてみるかという気になってしまいます(その結果、仕事が遅れます)。

こんなカリキュラムです。
勿論、翻訳を教えます。それに加えて、翻訳チェックも教えます。チェックというかエディットというか。翻訳とチェックとは別物であることを強調します。

翻訳ソフトの使用方法も教えないとね(あんまり詳しくないので、ベンダーの営業マンを臨時講師に呼びます)。「マッチ率とはですね~」みたいな話をしたり。

機械翻訳とは、みたいな講義も必要でしょうね。では、ポストエディットとは、という講義もやりましょう。

ワードとかテキストエディターのマクロについても教えないとね。「いいか~。マクロはあくまでも支援だ!翻訳は人間がするんだ~!まず翻訳技能を磨け~!」とか言いながら・・・。

営業方法も教えます。営業方法が分からなければ仕事が見つかりませんから。

集客方法も教えます。セミナーの開催方法とか。マーケティングの講義もしようかな。ポーターの「競争の原理」とか通ぶって語って(別にいいか)。ゲリラマーケティングも面白いよ。

事業計画の立て方の講義があったもいいよね。

「難しいクライアントに対処する方法」みたいな講義があっても面白いでしょう(と思っているのは私だけ?)。

週2回程度、1回90分で授業で教えられるものではないな、と思います。

翻訳以外のことばっかり教えそう。多分校長に怒られだろうな・・・。