2012/05/28

翻訳業界にもプロ野球みたいに育成枠があってもいいじゃない

プロ野球には「育成枠」というカテゴリーがある。球団と契約はするが、選手契約ではないので、実質上、練習生である。ちなみに育成枠の選手の最低保障年俸は240万円だそうだ。その育成枠の選手育成に定評があるのがジャイアンツである。なにしろ育成枠で契約した山口投手、松本選手が新人王を獲得している。

翻訳業界にも育成枠があってもいいかなと思う。トライアルには不合格なのでプロとして登録翻訳者契約はできないけど、研修は受けることができる。適切な実践を経験した後、適正に応じて、登録翻訳者(スタッフ)として仕事を開始する、というわけだ。

プロ野球の育成枠で入団してくる選手はアマチュアではトップレベルの選手である。翻訳業界の育成枠もトップレベルの人たちである。英検は1級またはTOEIC900点レベル、または日本語検定1級の人たちだろう。

たとえアマチュアのトップであってもプロのトライアルにはそう簡単には合格しない。しかしプロがちゃんと研修さえ提供したら彼らが新人王クラスの活躍をしてもおかしくはない。

プロ野球には支配下登録選手枠の上限が70名と決まっているので、それを超えてしまうと育成枠でしか契約できないとう事情がある。翻訳会社は採用する翻訳者の上限が決まっているわけではないので、育成枠という枠組みはそもそも必要ないかもしれないが・・・。しかしトライアルは合格しないが、語学のアマチュア業界ではトップという方々を見過ごす手はない。

2012/05/26

ある観光団体のHPが誤訳だらけに・・・

東大寺のHPの翻訳がMTを使ったばかりに誤訳だらけになってしまった、という新聞記事を読んだ(著作権の関係上、記事は掲載いたしません)。

以前は、委託業者に1言語に付き150万円支払っていたが、自動翻訳システム(MT?)にしたところ全言語(何言語あるか不明)で35万円になったそうだ―余談だが、1言語に付き150万円が落札価格だったようだ。

この記事だけを読むと、MTにご理解がない方は「やはりMTはまだまだ使い物にならない」とおっしゃるだろうが、私なりに原因を掘り下げてみたい。

記事には、「固有名詞の読み方もあらかじめ登録していなかったことからミスが続出、確認作業も怠っていた」という風に書かれている。恐らく担当者のMTに関する理解は「どんな言語でもスイッチ1つで翻訳されるのだろう」程度だったのではないだろうか。この程度の理解はなにもMTだけではなく通訳や翻訳に関しても同じことが言える。通訳や翻訳をご存じない方は、「どんな言語でも通訳者や翻訳者にかかれば他の言語に入れ替わるのだろう」とおっしゃる。

MTをうまくビジネスに活用するためには、下準備が必要だ。MTが理解しやすり文法に従って原文を作成するとか、コーパスを大量に獲得するとか、適切なMTエンジンを利用するとかだ。

この記事を読む限り、HPの翻訳は失敗したようだが、HPをMTで作成して大成功している例も数多くあるので、「MTは使い物にならない」という誤解だけは止めていただきたい。

TAUS Tokyo Executive Forum ではMTで最高した事例が数多く紹介されていた。

追記:記事には、「機械翻訳」とは書かれていません。「自動翻訳システム」と書かれていました。

2012/05/25

出張用のグッズ-001

今日は出張用のグッズについて書きたい。

最も重要なのは「首枕」だ!(首枕に関しては、以前、散々書いてきたのでもう書かない)。

出張のときに持っていくPCは当然ノートパソコン(以下、NP)だ。別にデスクトップパソコンを持って行ってもいいけど、持って行かない理由は自明であるので、省略する。

それでNPの入力手段だが、私はNPの中央部分に設置されているタッチパッドよりマウスの方が好きだ。理由はなんとなくマウスの方が使いやすいと感じるからだ。

そのマウスなのだが、ホテルなんかでは問題ないのだが新幹線の中ではちょい使いにくい。座席の机にNPを置くとマウスを置くスペースがなくなる。それならタッチパッドかなと思うが、タッチパッドはあまり好きではない・・・。

本日家電量販店に行って出張用のマウスを買いに行ったのだが、同じ売り場に外付けワイヤレス型タッチパッドが売られており、それならひょっとしたら新幹線の中でも使えるかも?と思った。外付けであるのでタッチパッド自体は自分の膝の上に置いて使えばいいわけだし。



写真の手前側が2つに分かれていますが、左側は左クリック、右側が右クリックに対応しています。

この記事を書いている時点ではまだ出張に出てないので試せてないが、今度新幹線に乗るときは是非試してみたい。

Logicool Wireless Touchpad  (3790円でした)

2012/05/24

研修にご参加されたBさんの声

では、今度は、Bさんのお声も紹介したいと思います。外国語にご興味があり、大学時代に多国語に挑戦されました。弊社本棚の「古代教会スラブ語」の文法の本に食いつかれたぐらいの外国語好きの方です。

Bさんにもすでにお仕事をお願いしています。研修も並行して受けていただています。


1)簡単で結構ですので、自己紹介(お名前は結構です。いままでのキャリア、資格等支障がない程度に)をお願いします。
  • 大学を卒業し、商社にて事務職をしております。翻訳は独学で学んでいる程度でした。資格はTOEIC905点、英検1級です。
2)なぜ研修を受けようと思いましたか。
  • 翻訳の仕事、特に特許翻訳がしたいと思い、探していましたが、実績がなければトライアルさえ受けることができないことがほとんど、トライアルを受けることができても落ちてしまうという現状でした。お金をだしてスクールに通うしかないのか・・と思った時に本研修を知り、無料でしかも個人的に添削して頂けるという機会を大変貴重でありがたいものに思い、受けさせて頂くことになりました。
3)研修の感想(良かった点、悪かった点)
  • 良かった点:特許翻訳での翻訳ルールや単語や流れなどを知ることができた、毎日少しずつなので続けられる、初歩的なことも丁寧に添削で教えて頂けた
  • 悪かった点:特にありません 
4)今後の目標(夢)
  • チェッカーの業務をさせて頂き、意外と自分に向いていることに気付けました。この仕事をもっと突き詰めていきたいと思います。 
  • チェックを通してだいぶ特許翻訳に慣れてきつつあります。翻訳とチェッカー業務は別物ではありますが、これを活かして翻訳も勉強を続けていきたいです。将来的にはSOHOとして仕事をすることが目標です。
5)次回、研修に参加される方へのメッセージ
  • お金を出してもなかなかこのような機会はないと思います。たまたまこの募集を知ることができ、自分のしたいことに合致していたのでとてもラッキーでした。同じような方がいらっしゃいましたら、ぜひ参加してみてください。私にとってこの研修はプラスしかありませんでした。



2012/05/21

研修にご参加されたAさんの声

弊社の翻訳者育成プログラムにご参加いただいたAさんに研修の感想を書いていただきました。Aさんは、驚異的なネット検索力をお持ちの方でした。

1)簡単で結構ですので、自己紹介を(お名前は結構です。いままでのキャリア、資格等支障がない程度に)お書き下さい。
  • 2歳児を子育て中のママであり、前職はJAVAプログラマーです。
2)なぜ研修を受けようと思いましたか。
  • プログラマーとして働くことは非常にやりがいもあり、周りからも頼られるようになって楽しかったのですが、ある程度行きつくところまでいってしまったことと、将来に対する不安をかかえていました。
  • もともと好奇心旺盛でいろいろなことに興味があるほうなので、たまたま縁のあった特許業界についての知識を得るべく、2級知的財産管理技能士の資格を取得しました。
 3)オンライントレーニングの感想(良かった点、悪かった点)
  • プログラマーの次に特許翻訳の仕事に目標を定め、一人自宅で勉強していましたが、幼い子を子育て中ということで、なかなか仕事に結びつく環境にありませんでした。
  •  そんな中、子供の保育園入園が決まり、3か月以内に仕事を見つけなければいけないという条件のもと、必死で仕事を探すうちに、目標の仕事に近づけるこちらの研修を知り、迷わず応募しました。
  •  子育て中のママさんの多くが望んでいる、在宅勤務ができる予定の研修であったことも、大きなポイントです。
4)社内研修の感想(良かった点、悪かった点)
  • 本で勉強するより、実際に仕事をしている方に見てもらえるので、短期間で数倍勉強になりました。
  • 毎回とても丁寧にフィードバックして頂けるし、無料でトレーニングしてもらえるなんて、すごくすごく親切だと思います!!!
  • 基本は実際の仕事を通しての研修なので、自宅での仕事が始まった時に、あまりとまどいがなくていいと思います。
  • 慣れるまでは丁寧にフィードバックして頂けるし、無理も言われないので、慌てず落ち着いて学ぶことができたと思います。
5)悪かった点
  •  募集要項の文章ほど、社長は怖くないです(笑)
  • 逆にいうと、募集要項の文章で怖気づいてしまっている人が沢山いるかもしれない。。。(!?)と思いました。
  • 私自身で残念なこととして、せっかく事務所に沢山の本があったのに、あんまり活用させてもらわなかったな~と思っています。
  • あと、遠慮してしまってオフィスグリコが食べられませんでした。。。
6)今後の目標(夢)
  • 今はチェッカーとしての仕事を始めたばかりでまだまだ半人前ですが、ある程度チェッカーとして一人前になれたら、やはり将来は翻訳者になりたいです。
  • 保育園に入れたとはいえ子供に向き合う時間も大切だし、かといって仕事も責任を持ってしっかりこなしていきたいので、子育てと仕事のバランスをうまく取りながら、成長していきたいと思います。
7)次回、研修に参加される方へのメッセージ
  • 最初はとても大変だけど、オンライントレーニングを含め約2か月の研修さえ乗り越えられれば、明るい未来が待っているとお伝えしたいです。
  • 私自身、「途中で打ち切るかもしれない」「油断しないように」など時々脅されましたが(笑)、本気で一生懸命取り組めばなんとかなるのではないでしょうか?
  • とにかく、挑戦してみることが大切だと思います。

2012/05/12

研修生のインタビュー(予告)

弊社では、在宅スタッフを自前で育てるという試みを3月から始めました。オンライントレーニングと社内研修を経て、現在、在宅でお仕事をしていただいている方が2名出ました。ひとまずここまでこぎつけることができてホッとしています。

弊社の試みと、研修生の方の生の声をご紹介したいと思います。

弊社の試みは、「スモールビジネスの人材確保の試み」としてブログにいつかお書きします。

研修生の声は、インタビュー形式でUSTREAMに配信する予定です。


録画は、5月14日~5月18日に行う予定です(インタビューの生放送はございません)。


録画が終了したら、このブログに配信スケジュールをお書きします。

では。

追記:インタビューは諸般の事情で中止いたします(5月19日)。

2012/05/11

売上目標を達成するには

ある年までだらだら仕事をしていた。年商1,500万円ぐらいまでは比較的無難に達成できたので、少々、軽く考えていたところがある。独立する前に読んだ本で、1,000万円ぐらいまでは簡単に達成する場合もありますよ、と書いてあった。私の場合、幸運にもそれに当てはまった。

ある年、売上目標を掲げた。決算最終月が近づいてきた。その年の売上目標額を達成するには、最終月にその年の平均売上月額の約2.5倍の売上が必要だった。

それまでの自分なら、「無理だな」で終わっていたと思う。目標が達成できなくてもまぁそれでいいやとしか思わなかった。どうせ自分が作った目標だ。達成できなくても誰にも怒られない。ああ今年もだめだった。来年頑張ろうと思うだけだ。

私がサラリーマンの頃、上司が常に「今年も目標を達成できなかった。景気が悪い、政府が悪い、国が悪い、あいつが悪い、こいつが悪い」と、責任は必ず他人にあるというスタンスを取っていたので、目標というものは、普通、達成されることはないのだ、と信じていた。私は自分が勤めた会社のことしか分からないが、上司の大半がそういうスタンスを取るような会社は、倒産とまでは言わないが、吸収合併や買収され、跡形もなくなることがある。

その年はなぜだか分からないが―今でも分からないが―、それではダメだと思った。独立して初めて、今のままではだめなんだと思うようになった。だから1か月で約2.5倍の売上を達成するために必死になって仕事をした。

命がけで仕事をしたら目標を達成できた。

深夜2時まで事務所で仕事をして、翌朝6時には事務所に到着して仕事を開始したことも何度もあった。

必死に仕事をしたらその必死さがクライアント様に伝わったのかもしれない。それ以降、定期的にまとめた量を発注して下さるクライアントが現れた。

売上目標を達成するノウハウのようなものはなかった。こうすれば目標を達成できますよ、というやり方をお伝えできないのが残念だ。

目標が達成されない場合、原因は自分であると考えるのがリーダーだ、と思う。達成できなかったとしても決して「景気が悪い、政府が悪い、国が悪い、あいつが悪い、こいつが悪い」」と言ってはならない。

2012/05/09

翻訳で年商1千万円稼ぐ方法-001

年商1千万円稼ぐ方法について書いてみたい。

人を雇って(能力があるならば家族でもいい)、訳文チェックや経理処理等をやってもらえばいい。つまり賃金を払ってでも人を採用した方が売上は結果的に上がるのだ。自分一人で全てをするな、ということだ。

乱暴な言い方だが、翻訳者が何度もチェックするよりも、ある程度、セルフチェックが終われば、後はチェッカーにチェックを依頼し、さっさと次の案件に移った方が効率的である。こうした方が、処理量は倍になる。

私はこの方法をどこかで学んだのではない。処理量が増えていったので自分で工夫して期限内に処理できる方法を確立する必要があったのだ。

会社というのは基本的にこの考え方に基づいている。要するに、人が5人集まったとしよう。その際、処理できる仕事量は1人分×5の仕事量ではない。普通―よっぽど互いに憎しみ合ってない限り―5人集まれば、8人分ぐらいの仕事はできる。5人集まっても5人分の仕事しかできない場合、やり方に問題があると思う。少なくとも5人集まれば6~8人分の仕事はできるはずだ。ただし、5人集まっても、20人分の仕事を完了するのは無理だろう(大規模にオートメーション化できれば可能かもしれない)。

私は独立2年目から、ある程度の訳文のセルフチェック後は、チェックは自分以外の別の人に任せた。そうしたら年商1千万円を超えた。もし翻訳をやって、チェックをやって、経理業務をやって、全てを自分一人でやっていたら年商500万円がせいぜいだっただろう。例えば、チェック代金をその人に200万円お支払しても800万円残る(1000万-200万=800万)。自分一人で全てをすればせいぜい500万円しか稼げなかったはずなので、つまり300万円売上アップ(800万-500万=300万)だ。

勿論、人を雇っただけではない。翻訳支援ソフトも使用した。その当時は、Wordfast Classicというソフトを使用していた。これはワードのマクロを拡張したようなものだ。秀丸エディターというテキストエディターも少しだけ使った。あまりマクロには詳しくないので用語一括変換用マクロはセミナーでいただいたマクロをそのまま使用した。

つまり年商1千万円を稼ぐために、人を採用した。そして翻訳支援を利用した。

その後、売上が1千5百万円を超えた。この段階では、部屋中が原稿や資料だらけになる。家庭用のファイルキャビネットには書類が入りきらない。シュレッダーで裁断すべき不要原稿も山積みだ。どうしようもないので、その後、大阪市内に事務所を借りた(大阪市の中央区辺りに事務所を借りることがイケテルと信じていた)。

株式会社MK翻訳事務所が誕生した。

2012/05/07

食べていける翻訳者(会社)とそうでない翻訳者(会社)

GWも終わりました。現実世界に戻りましょう。

翻訳は上手なだけではだめです、というお話をします。

私が存じ上げているバイリンガル翻訳者さんは大変翻訳がお上手です。しかしフリーランス翻訳者だけでは生計が成り立たないので会社員と兼業をされています。

私は独立当初、フリーランス翻訳者でしたが、当時は、翻訳は下手でした。その当時、私は翻訳に向いてないのかもしれないと悩んでいました。ただ、翻訳を好きだという気持ちだけで自分を奮いたたせていた記憶があります。

そんな私ですが、幸運なことに、独立後1年目からフリーランス翻訳者としての収入だけで生計を立てることができました。独立する前はアルバイトとの掛け持ちが必要だと覚悟をしていました。元ホテルマンですので、どこかのホテルでバイトを探すつもりでした。多分フリーランス翻訳者としての収入 だけでは生計が立たないだろうから副収入が必要だと想像していました。

理由は分かりませんが、当時、私を使ってくれた翻訳会社がありました。このクライアントは、私が会社員をしているときから仕事を頂いていました。会社員を辞職し、専業翻訳者になったらアルバイトを探す暇なんてないぐらい仕事を頂きました。ただし、毎回、ボロクソ言われました。フィードバックというかクレームだらけでした。これだけ文句があるなら他の翻訳者に依頼すればいいのに、なぜ私に依頼するのか全く理解できませんでした。でも仕事は途切れることなく舞い込んできました。

1年目、この翻訳会社さんからの仕事だけで年間400万円ぐらいになっていたと思います。このクライアントがなければ年商200万円程度ですから、やはり副業がないと食べていけなかったと思います。2年目は多分700万円ぐらいの仕事を頂いたと思います。この翻訳会社さんからの仕事は断りませんでした。とにかく全て受けました。翻訳料金も安いし、使い勝手が良いいと思われたのかもしれません。

翻訳者(会社)は翻訳が上手なだけでは独立できません。翻訳は大変お上手だが独立できない翻訳者が大勢います。逆に、下手でも仕事さえあると独立が可能です。

私の場合、「翻訳がうまくなった、みんなに認められたから独立した」というより、「翻訳は下手だし、誰からも認められなかったけど、使ってくれるクライアントがあるから独立できた」でした。

翻訳会社としても全く同じことが言えます。仕事がないとやっていけないのです・・・。

2012/05/04

「仕事中毒」という病気

私はここ6年ほど病気を患っていました。重度のワーカホリック患者でした。過去6年間、平均して、1日完全に休んだののは年間10日ぐらいだったと思います(そんなに休んでない年もあったと思います)。

独立1年目にすぐ中毒症状が出ました。土日祝日と平日の区別が付かなくなるまでにそれほどの時間はかかりませんでした。それ以降、中毒患者のごとくずっと仕事ばかりしてきました。

この当時は、仕事があるだけでもありがたいと思っていましたので(現在も仕事を頂けるありがたさは変わりません!)、土日祝日も仕事をしている自分はいけてると感じていました。初めて契約してくれたエージェントさんからのお仕事は断らずに全て受けていました。その他にも2~3社契約していただけたのでほぼ365日稼働していました。

1年目は自分一人で仕事をしていました。10か月で年商が600万円。忙しくなってきたので2年目には家内に仕事を辞めてもらい自分の仕事を手伝ってもらうようになりました。2年目に年商1千万円、3年目には1千5百万円と順調に売上だけは伸びて行きました。

売上も順調に伸びて行きましたので、忙しくて当たり前だと思いました。最初の3~4年は、まさか自分が病気だとは夢にも思いませんでした。

サラリーマン時代、連休は必ず家内と旅行に行っていたのに、独立してからは土日祝日も仕事をやり続けたため、旅行らしい旅行に行った記憶がありません。

その後、お陰様でクライアント様も増えてきたので家で仕事をする限界が来ました。それで大阪市内に事務所を借りることにしましたた。翻訳に加えて事務所の経営も自分の責任でしたので更に忙殺されました。

理由は忘れてしまいましたが、ひょっとして自分は病気ではないかと感じるようになりました。ここ1年ぐらい前からですが、その症状が悪化していると自覚できるようになりました。すると、逆に心に少し余裕が出てきました。病気だと気付いたからです。

2011年からある翻訳イベントの運営をお手伝いをさせていいただく予定でしたが、途中でご辞退させていただきました。精神的にも体力的にも限界が来ました。このときから自分の症状を悪化させないよう少しずつ努力するようになりました。

中毒症状を自覚できて自分で脱する努力ができるようになって本当によかったと思っています。

ベストセラーの本ですので、ご存じの方も多いと思いますが、「The E Myth (1991), Michael Gerber」を読んでみました。この本には、失敗に終わるスモールビジネスのことが書かれています。どうすれば失敗せずに済むかということも説明されています。人に教えられない仕事(マニュアル化できない仕事)をやっている限り、その組織は大きくならないことを学びました。以前は、自分が全てを行わないと落ち着きませんでした。

2011年の暮れにスタッフを採用することを決定しました。ハローワークに行って初めて求人広告を出しました。それと在宅スタッフもインターネットを使って募集しました。

2011年の暮れは、独立して初めて年末年始の休みを取りました。12月30日~1月3日まで完全に休みました。

中小企業なので土曜日も休みにするのはなかなか難しいのですが、日曜日は休むようにしています。

これからは人を育てることに全精力を注ぎたいと思います。

2012/05/02

お客様のニーズ

我々はどなたにご飯を食べせていただいているのか。それはお客様からご飯を食べせていただいているのだ。今回はそんなことを書いてみたい。お客様から想定外のご指示をいただいたとき、翻訳者によっては、瞬間的に拒絶反応を示す場合がある。そんな時、下のようなたとえ話をして翻訳者に説明する。

元ホテルマンである私はケーキ屋さんやレストランを評価するとき、パティシエやシェフが化粧をしているかしてないかを見てその店を評価する。化粧は食材に匂いを付けるので味が変わる。化粧が食材に降りかかったら不衛生なので、ホテルのキッチンでは化粧は厳禁である(ファンデーションは絶対にダメ!)。同じ理由から香水もだめである。一流のシティーホテルのキッチン内での食材の管理はそれぐらい厳しい。ケーキ屋さんのアルバイトのパティシィエは化粧している。ひどいところではマニキュアまでしている!

僕はそういうところをねちねち見てその店を評価する。でも普通のお客様はそんなところを評価しない。ではどこを評価する?評価するのはおいしさである。その店の雰囲気かもしれない。お客様は化粧をしているかどうかなんて興味はない。

翻訳も同じことが言える。特許翻訳でいえば構成要素等の主要名詞の用語統一はもちろん重要である。ただし、大量の翻訳を必要とされ、また、管理の効率を重視するお客様は、少々英語として完成度が損なわれるかもしれないが、細部にわたる用語統一を重視される場合がある。そのようなお客様は細部にわたる用語統一がされていない訳文に対して低い評価をするかもしれない。しかし、用語統一を重視すれば、少々違和感のある部分も発生せざるを得ない(そのような場合、弊社はコメントを添付して代替案をご提案しています)。お客様の立場に立ってお客様のニーズに可能な限りお応えした上で、プロとしての我々の意見をご提案するのが我々の務めだと考えている。

村上春樹先生の翻訳を批判するお客様である読者が大勢いる。字幕翻訳の戸田奈津子先生の字幕にケチを付ける方々が大勢いる。「あの場面であの訳はないだろう」と言う。

お金を払うのはお客様。我々はお客様に食べせていただいているということを肝に命じ、自己満足的な訳文に終始することなく、お客様のニーズに対応した訳文をお届けし、さらなるご提案を行っていくことがお客様と我々のwin-winの関係を継続させる鍵だと考える。