2012/04/01

トライアルでは分からないこと

翻訳会社は翻訳者さんを募集する際、トライアルを実施します。1ページぐらいの量の翻訳をやっていただいて翻訳の実力を試すというものです。実施する翻訳会社もプロですからたった1ページぐらいの量でもその翻訳者さんの実力を公平に評価できるようです。

そのトライアルでは、分かることは、その翻訳者さんの現在の実力です。分からないことはその翻訳者さんのポテンシャルです。つまり一般的なトライアルでは、金の卵―磨けば光る原石―である翻訳者さんを採用できていないのです。これは翻訳業界全体にとっても大変大きな問題だと思います。

翻訳者を目指しているのだが、どうやれば翻訳者になれるか分からない若い人達が大勢います。今日、道ですれ違った若者が金の卵だったのかもしれません。

大手翻訳会社さんなら「実力を付けてからもう一度トライアルを受験して下さい」と言うかもしれません。ならそれでもいいでしょう。トライアル受験者は、毎月、数えられないぐらいいるでしょうし。しかし小さな翻訳会社はそれでは経営が成り立ちません。経験を積んでから再度受験下さいという姿勢では、その翻訳者さんは実力を付けたら大手翻訳会社を受験してしまいます。

弊社の翻訳者の階層は、トップクラスの翻訳者、そこそこの翻訳者、一番下の翻訳者となっており、その下には、翻訳者予備軍がいます。

即戦力の翻訳者さんも大変重要ですが、私は、翻訳者予備軍の確保にも力を入れています。2~3年後、彼らが中心的な翻訳者になってくれることに弊社の社運がかかっていると言っても過言ではないでしょう。

翻訳業界全体でこの問題というか課題に取り組んでもいいと思っています。

私はもう若くない。若い人を育てる義務があります。

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